種子島の安納芋
戦後、スマトラ島から引き上げてきた兵隊さんが持ち込んだ一つの芋。これが種子島における安納芋のルーツです。
安納芋は種子島でのみ作られていましたが、最近は種子島以外で作られているものもあるようです。品種登録されている安納芋(安納紅・安納こがね)以外の在来品種は、種子島以外でも栽培することが可能です。ただ、「安納芋」という名前を使うことを許されるのは、種子島で作られたものに限定されています。そのため、たとえば「神奈川県産安納芋」という表記の商品が存在してはいけないということになります。
鹿児島県、そして種子島は、全力を挙げて安納芋のクオリティー向上に取り組んでいます。それは苗から栽培方法まで、すべてが考慮された総合的なプロジェクトと言っても良いでしょう。
種子島にある育苗センターでは、安納芋の「バイオ苗」を栽培しています。「バイオ苗」は、色や食味に優れた安納芋から生長点を抽出し、それを培養して作られます。病原菌にも強い「バイオ苗」は、種子島で作られる本物の安納芋にのみ使われています。この「バイオ苗」が、すべての安納芋、ねっとりとした甘さを持つ安納芋を生み出しているのです。
安納芋は収穫後、しばらくの間、熟成庫に保管されます。この熟成期間中に、安納芋はジワジワと甘さを蓄積していきます。
種子島で作られる本物の安納芋は、苗の段階から出荷直前まで、考え抜かれたステップにより管理されています。安納芋の持つ、ねっとりとした本来の甘さを引き出すために、そして消費者に安心して食べてもらえる安納芋を届けるために、鹿児島県と種子島は一体となって生産に取り組んでいます。